Milkmeta.info Legacy Code

Kento Koumura (裄乃由紀野)によって2006年〜2010年にかけて公開された記事のアーカイブです。

仮説:「無断リンク禁止」はブラウザのUIが根源か?

……さて、「無断リンク禁止」や「ディープリンク禁止」といった一連の議論では完全に無視されているけれど、どうもこの問題の本質はブラウザのユーザーインターフェースにあるような気がします。

ここから先の文章は全て裄乃由紀野が考えた仮説であり、これを他のWebサイト運営者やソフトウェア開発者に押し付けるつもりは全くありません。正直自分でもよく分かっていませんし、勢いで書いたようなものですから。仮説というのはどのみちトンデモを含む手法ですので、信頼性はご自身で判断してください

大体、リンクはTOPページに貼るのが基本だと思います。

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なぜなら、TOP以外からの訪問は裏口から合い鍵を使ってコッソリ入ってきたのと同じようなものだからです。

ブログページ単体へのリンクは迷惑行為です

たとえばこの様な文章があったとする。これに対する反応としては大概「広く公開されているページに〜」といったWebサイトを家に例えることへの疑問が多い。そして替わりに提示されるのは「どこにしおりを付けようが〜」といった本の例えがまた多い。しかし、ここで注目すべきは現実問題としてWebブラウザは本のような「情報を扱うツール」には成りえていないということである。

現在のブラウザは……メジャーなところでInternet Explorer/Mozilla Firefox/Opera/Safariなどあるが、いずれも「情報を扱う」という視点ではNCSA Mosaicからほとんど進化していない。検索ツールバーやRSSリーダーなどの機能は増えたものの、核となる「Web上の情報を表示する」という機能は全く変わっていないのだ。リンクを辿るうちにページの構成が分からなくなり、さっき開いたページもどこかへいってしまう。気がつけば別のサイトで迷ってた……本来ならブラウザがナビゲートしてくれるはずなのに、現状は「サイトマップ」や「パンくずリスト」をHTML上で構成しないととてもじゃないが使いづらくて仕方が無い。

実際、独立したトップページから階層状のナビゲーションで誘導する手法や、HTML文章内にコンテンツとナビゲーションを混在させる手法というのはずっと昔から変わっていない。"ホームページ"という言葉が未だに使われていることもそれを象徴している。玄関から入って、廊下を通り、部屋に移る……一般的なWebサイトの構成はむしろ"家"の方が近いのだ。ブラウザが知性を持たないことで、人々はWebサイトを「情報を伝えるメディア」ではなく「客を招くツール」として見ている。そして、ブラウザが最初から"情報"をスマートに扱えれば、この誤解は解消されるのではないか。

そう、もしブラウザが本当の意味で"情報"を扱うためのツールであれば、有り余ったCPUを活かしてリンクの構造を解析し、サイトからナビゲーションとコンテンツを分離した上で、Googleなどの外部Webサービスと連携して情報を取得。サイト全体の雰囲気はそのままに、RSSRDFメタデータを応用して関連情報を分かりやすく提示。GPUをフルに使い切る勢いで情報の流れを可視化して、指先で自在に操れるようにするぐらいの……要は「マイノリティ・リポート」に登場するようなツールになっているべきではないのだろうか。

Webサイトから"情報"を切り離すことで、「無断リンク禁止」「ディープリンク禁止」といった宣言は意味を無くす。その「進化したブラウザ」はそのような宣言も関係無しに構造を解析し、たとえリンクされていなくとも先読みして情報を提示するようになるだろう。つまり、情報を一度バラバラに切り刻んだ上で、ユーザーの目的に合わせて情報を再構成するのだ。あなたのブラウザは「あなた専用まとめサイト」になる、そんな知性があってもおかしくない。

無断リンク禁止サイトの製作者は、その時になって本当の意味での「無断リンク禁止」の愚かさを認識する。情報を個別に扱うことの利点を発見する。製作者がハイパーリンクの利点を知らないのなら、それを実際に体感させてあげるのがブラウザの役目というものだ。そして、そういうブラウザはまだ無い。GreasemonkeyWeb Mapがそれに近づいているぐらいだろうか。

その様な可能性を認識せずに、単に本の比喩を提示してくる人の気持ちというのが一瞬分からなくなった。無論「無断リンク禁止」という宣言が無意味であることは理解している。しかし、Web業界はこの問題を本気で考えたことがあるのだろうか?ハイパーテキストはもう枯れた技術なのか?と考えると、やはり疑問が残る。

この"世界"を変えるのは時間がかかるだろうが、現在のPCの性能からすればまだ発展の余地は残されている。重要なのは、その可能性を認識することである。「そんなの無理だよ」と思うかもしれないが、現在のWeb2.0ブームからすれば、本当にそんな世界を実現させてしまう奴らがいつ現れたっておかしくはないのだから。