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確かにそうなんだけど……「Technique Bible Illustrator」

Technique Bible Illustrator

ダイアリーを始めたことで変わったことといえば、Illustratorを使うことが多くなったこと。ロゴやフォントやヘッダの画像やプロフィール写真などいろいろなものを作ってきたものの、はたしてこのやり方が正しいかどうか分からなくなってきた。自己流は時に車輪の再発明をしてしまうし、労力を無駄にして可能性を狭めることにも繋がりかねない。

そこで「一般的視点から見たAdobe Illustratorの使い方」というのを図書館で探したところ、これが目に留まったので紹介する事にするのです。今回三冊目はTips本の「Technique Bible Illustrator」。著者はなかのたかし。2003年3月発行。定価2,940円。出版社はソフトバンクパブリッシング。ISBNは4-7973-2157-1。

結論:私には合いませんでした。ゴメンナサイ。

テクニックとはいかなるものか?

全体的な流れとしては「ツールの機能と使い方」と「実践的な作例」の二つをテーマとしているとのことです。特に作例は充実していて、ポップイラストに役立つテクニックは豊富です。作者が本業イラストレーターだということもあり、全体的なトーンはまとまっていますね。見ていて楽しい感じはします。

技術的な面としては、とにかく「難しい絵を機能を活かして楽に描く」という感じがします。スウォッチ機能やパターンブラシを使った簡単作図、ハッチやフィルタなど質感系の説明が充実していたりします。変形機能を使った作図例も豊富です。要所要所に細かいTipsが入っているので、Illustratorの動作に疑問を抱いたときには役立つでしょう。私の知らなかった機能にも触れられています。

そういう訳で、Illustratorの基本を習得している方、ステップアップした表現をしてみたい方が対象となっています。

アートという事の限界

しかし、「人に薦められるか」といえばです。

最大の問題点は作例が全てポップイラストであるということに尽きます。確かにデフォルメされた表情や可愛げなイラストを描くのには役立つのですが、根本的に私の求めるものとは違っていて……例えばロゴデザインについては2ページしか載っていませんし、プリンタや画像フォーマットなどの出力作業にも触れられていません。

コンセプトは「表現技法」ですから確かに正しいのでしょうが、私なりの表現技法と違うのは確かでして……そういう意味でこれはかなり人を選びます。センスが合っている方には便利でしょう。そうでない場合は、掲載されている「素材感の表現」や「作図の技法」を自分なりに噛み砕く必要があります。

Illustratorに向いているかは別として、写真を組み合わせた作例などもありません。「写真を入れるならPhotoshop」という意図があるのでしょうし、実際にPhotoshopとの連携方法が載っています。でも、ベクトル系ならではのDTP用途は需要が高いのではないのかなぁ……

お詫びと訂正:初出時になかのたかし氏の作例について「ポップアート」と記述していましたが、これは私の誤解に基づくものでしたので訂正します。ゴメンナサイ。

まとめ

では、何故それを紹介するか?と問われても、基本的に読んだ本は書き記しておこうという考えで始めたので、それ以上の「紹介する理由」などないのです。

この本が向いているか向いていないかは、なかのたかし氏の作品を見るのが手っ取り早いでしょう。作品を見て惹かれなかった方には向いていません。そういう本です。

一応、続編のTechnique Bible Illustrator CSについてもレビューを行う予定です。図書館にあったので。

興味をもたれた方は図書館で検索……なのですが、「出かけるのは面倒」「近くの図書館に無い」という方はamazonへ。現在ユーズド商品のみですが。

Technique Bible Illustrator Version8以降に対応 (Technique Bibleシリーズ)
Technique Bible Illustrator Version8以降に対応 (Technique Bibleシリーズ)