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Kento Koumura (裄乃由紀野)によって2006年〜2010年にかけて公開された記事のアーカイブです。

はは

私の母は、とても素晴しいひとだった。

敢えて一つだけ挙げて説明するとすれば、「とても優しいひと」。どうしようもなく身勝手で、それなのにすごく弱い私に優しくしてくれた。それなりに若かったし、綺麗だった。その存在は私にとって必要なものだった。

当たり前に流れる月日の中で、それは変わらないはずだった。いや、そう思っていたのは私だけかもしれないが――とにかく月日は流れた。そして私の存在も、母の存在も、変わってしまっていた。

顔から笑顔が消えた。家事に力が入らなくなった。過去のことを悔やむようになった。全てに無気力になった。すぐ泣くようになった。一日中のように寝るようになった。

そんな母を、私は受け入れられなかった。精神科に行くようになってからも、心の中ではその変化をどこか避けていた。でも、母は間違いなく悪い方向へ進んでいた。

服のセンスが無くなった。些細なことをすごく心配するようになった。離婚の話をするようになった。リストカットの"真似事"をするようになった。そして、もっと早く死んでいればよかったと言い始めた。

ここ数日は特に調子が悪いようで、毎日のようにキッチンの隅で泣いている。とにかく話を聞いてあげて、なんとか気を紛らわさせてはいるものの、正直この状況じゃとても持たない。そんな空気を感じている。

いまの母は、すごく世界を悲観視しているようだ。全ての問題を――とても些細なことでさえ――自分で抱えこんで、原因が自分にあると思い込んで泣いている。でも自殺する気力すら残っていなくて、今いる自分自身を肯定できない……

……悔やんでも遅いのは分かっている。なぜもっと早く気づいてあげられなかったのか。どうして何もしてあげられなかったのか。私が無駄に使っている時間と労力で、こうなる前に何かできたはずなのに。力になれたはずなのに……

私に出来る事はなんなのか、いまこの状況をどうするか、もう少し考えてみようと思う。